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ナインス・ゲート
[製作年]1999年 [製作国]フランス/スペイン [監督]ロマン・ポランスキー [原作]アルトゥーロ・ペレス=レヴェルト [キャスト]ジョニー・デップ 、フランク・ランジェラ 、レナ・オリン 、エマニュエル・セニエ 、
[感想] 下でKAFKAを紹介したので、ちょっと不気味な映画をまた1つ。(傾向は全然違うけど。) 「ローズマリーの赤ちゃん」「テス」「戦場のピアニスト」のロマン・ポランスキー監督のサスペンス・ホラーです。 ……というか…。実際は、サスペンスでもホラーでもないような…。 「ポランスキー」というジャンルの映画、と言った方がいいかも。というくらい、ポランスキー爆発なポランスキー映画です。(<意味わかんないって)
内容は。 ニューヨークで古書ブローカーをしている「本の探偵」コルソ(かなりアコギなヒドイ奴)。 ある日、彼は有名な古書コレクターから、本の真贋鑑定を依頼される。 それは世界的に有名な稀少本、世に3冊しか存在しないといわれる悪魔の祈祷書 「ナインス・ゲート」 だった。 依頼は、残りの2冊と見比べ、その本の真贋をはっきりさせる、というもの。残りの2冊は、それぞれポルトガルとフランスにあり、著名なコレクターが所蔵している、という。 大金を提示されたコルソは、その真贋を見極めるべく行動を開始したのだが、その直後から周りで次々と謎の殺人が起こる。 どうやら、「ナインス・ゲート」には強大な「邪悪な力」を手に入れるカギがあるらしかった。 そして、コルソは どうしようもないまま、「邪悪な力」 に巻き込まれて行く…。
「古書の探偵」 と 「稀少本」 というモチーフがなんといっても魅力的です。 やー、古本というのは、得も言われぬ魅力がありますね。 そして、古書コレクターの超激マニアな世界がまたイイ。 関係者がみんなスっっっゴク変なヤツで、さもありなん、という感じ。 しかも、最初の舞台はニューヨークですが、あとはスペイン、ポルトガル、フランスが主で。 これがまたゴシックな雰囲気満点でイイわけです。 (この 「雰囲気」 はナインス・ゲート最大の魅力の1つ。 古典的な老コレクターの書斎、半地下の古書店、近未来的な蔵書室、中世の稀少本、落ちぶれ貴族の館、朽ち果てた古城…どれも計算されたパーフェクトな雰囲気を持っている…と思います。)
そして、さらなる魅力は、ポランスキー独特の映像美。 オープニングのカッコ良さにまずやられました。いやーカッコいいなぁ〜、うんうん。導入部からオープニングロールへの入り方がまたイイんだ。 まず、古書コレクターの映像から入って、次に彼の本棚に映像が移り、数々の古書の背表紙(これがイイ感じ!)をカメラがなめて行くんですね。 と、中に、一冊本が抜かれて空いている空間があって。 その 「本一冊分の闇」 にすーーっと吸い込まれるようにカメラが入って行くんです。で、そこからがオープニングロールの始まり。 映像は暗闇の中、どんどん加速。 そして、飛ぶように幾つもの扉(たぶん、9つ)を通り抜けて行くんですけど、その反対側から、白いタイトルロールがこちらに次々と飛んでくる、という趣向で。 (と言っても全然想像できないとは思うんですが) これがもー、美しいこと、この上なし! その他のシーンもどれも美しいです。 そして、なんてことないのにどれもこれもコワイ映像なんですね。(関係ないちょっとしたシーンがコワイ…)
しかし、この映画、ものすごーーく評判悪いみたいです。「謎解きが陳腐!」 とか 「オチがあれだけなんて、肩すかしもいいところだっ!」 とか 「悪魔とか言ってるクセに、全然オカルトっぽいシーンがなくて中途半端っ!」とか 「ラストの 『その先』 が見たかったのに、がっかりっ!」とか。 「結局、殺したのは誰なのさっ、あの兄弟はなんだったのさっ、消化不良っ!」とか。 だいたいめっちゃこきおろされてるらしいです。 けど。 謎解きって…本当に普通の 「サスペンス物」 なわけないじゃん、ポランスキーだし。とか。「悪魔や魔女が牙剥いたり、白目で襲って来たりしたら、興ざめじゃんっ」 とか。 「あれから先を見せちゃったら、バカみたいじゃん。ってーか、無粋っ!」 「何もかも説明したら、それこそ陳腐じゃんっ」 とか。 自分は思います。 つーか、何もかも言われなくても、だいたいわかるし。 細かい謎は残るけど…あー、アレはあーゆーことなのかなー?…って色々考えるところがまた楽しいんじゃないさ〜。(<なまいき言ってら〜) 確かにラストは 「え?これで終わり?」 という終わり方なんですが、そうかー、でもそうだよな、そりゃー、と納得できるし。 とゆーか、これしかナイだろうっ!って感じです。 それ以上やったらバカみたいだもの。 …って、見てないとわからない話なんですが。 でも、ホントにそうなんだってっ!<うるさいっ
映画全体にずっと緊張感があって、目が離せないですしね。 特になんということのない、細かい演出が緊張感を引っぱっている気がします。 例えば、主人公のコルソ。 彼はヘビースモーカーなんですね。 「主人公がタバコ吸うのはおかしい!」 って評もあるようなんですが、それはもちろんワザとそういう設定にしてるわけでしょうから、なんらかの意図があるはずですよね。 ちょっと考えると、稀少な古書を扱うのが仕事なのに、常にタバコ吸ってるなんて変なんですが、それで緊張感を呼ぶようにわざわざそういう設定にしてるんじゃないか、と思えます。 だって、「世界に3冊しかない超稀少本」 をめくりながら、プカプカやってんですよ。 見ててドキドキしませんか? そもそも、「本」 と 「火」 っていう取り合わせが緊張感を呼びますし。 他にも、タクシーの運転手がやたらにテンション高かったり、とか、もろもろ。 そういうありとあらゆる細かいところにも、監督の 「意図」 が張り巡らされているように感じます。 役者もまたイイんです。 特に主役のジョニー・デップはすごくイイ。 やさぐれてるところもイイし、 でも、メガネかけて古書をパラパラやってるのも似合う。 襲われたり、人が殺されてるの見たりすると、わーーって、逃げてばっかりいるんだけど、その情けなくて、ちょっと笑っちゃうぐらいなところもイイ。 絶妙なバランスですね、ジョニー・デップは。 他のキャストも非常にぴったりです。 怪しい製本業の兄弟なんか最高です。ちょっとフリークスっぽくてコワイ。でも、やっぱりちょっと笑っちゃう。 怪しいねーちゃん(最重要人物)も、いかにも過ぎるくらい怪しいところがイイ感じ。 「途中でねーちゃんの謎がわかっちゃってつまんなかった。もっと上手く作って欲しい!」 って言う人もいるようですが、 …でも、ねーちゃんの謎は最初っから、あからさまに 「わかるように」 演出されてるんです。 ということは、もともとそういう 「謎解き」 をさせようと思って作られてる映画ではない…ってことじゃないでしょうか。
…って、あらあら、だんだん映画紹介じゃなくなって来ちゃいましたね。まぁまぁ。あらあら。しかも、えらく長々と。 別に 「お気に入りベスト10に入る映画っ!」 とまで思っているわけじゃないんですけども…。あれれ???
まぁ、ともかく、そんなこんなで。 普通の 「サスペンス」でも「ホラー」でもナイけど、面白い映画ですってことで。 一般的な評価は低いんですが、自分的にはかなり好きな映画です。でも、好みの問題なので…。 下で紹介した 「カフカ」 とは違い、ある意味「痛快」ではあるし、そしてある意味 「ハッピーエンド」 と言えなくもない…(<ホントか?)のですが…。 でも、 「最後はすっきりオチをつけたい」 という方には向かない映画かな、と思います。
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