切手の小部屋 4
 アート切手  

 いわゆる1つの 「美術品」 切手。 切手収集の王道? でも、別にテマティックにコレクションしてるわけではなくて、 自分のお気に入りの画家の切手をちょろちょろ買ってるダケなんですけど。 ポリシーやこだわりはナイんですが、アフリカや南米などの 「美術品切手は売れるから作ってみた!ほら、欲しいでしょ、買って買ってっ!」 というような切手は、できるだけ買わないようにしています。 その手のものは、どうも色がケバケバしくて質がイマイチで。 といいつつ、やっぱりちょっと持ってたりもします。 ま、その程度のいい加減なもんです…(^^;


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 「エペソスの集い2 Le Rendez-vous d'Ephese(Paul Delvaux)」 1992年 フランス発行   

 ポール・デルヴォーの切手。切手解説書。解説書はA4サイズの厚紙シートになっている立派なものです。エンボスでフランス印刷局の認証がついています。切手は大きな絵の一部で、絵全体が描かれた印刷の良い絵ハガキが別に貼られています。 デルヴォーはベルギーの画家で、その「凍り付いたようなエロス」がシュルレアリスト達の絶賛の的。  自分も非常に好きな画家です。 切手は本場ベルギーから何枚か発行されているはずで、ずっと欲しいと思っているのですが、いまだチャンスがなく購入できていません。 コレはgitanoさんがフランスで見つけてきてくれたフランス発行の切手。 個人的な「超貴重品」 であります。


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「Profil de femme (OdilonRedon)」 1990年 フランス発行   

 オディロン・ルドンの切手。 初日カバー。 こちらは封筒タイプですが、ちょっと普通と違うのは、別貼りの絵の方が、シルクに印刷してあること。 シルクの初日カバー自体はさほど珍しくはないのですが、ルドンの場合は絵に金箔などが使われているため、シルクの光沢がとてもいい効果を出していて、ルドンらしい初日カバーになっていると思います。 自分がルドンを初めて見たのは、オルセーにある菩提樹の下に立つ仏陀の絵。あまりに気に入って、何日も通ってしまいました…(^^;


 
「Hundertwasser Haus(Friedensreich Hundertwasser)」 1987年 オーストリア発行

 フンデルトヴァサーの切手。 ウィーンにあるフンデルトヴァサーハウスがデザインされています。 初めてウィーンに行った時、小さなギャラリーで彼の作品を見てその大胆さと強烈な個性に衝撃を受けました。 (後に日本でも何度か展覧会が開かれ、すっかり有名になりましたが、当時はまだ知られていなかったので、イキナリ見てもービックリっ!だったのです。) 自分の一番好きな画家の1人です。 このアパートは彼自らがデザインした集合住宅で、この絵のまんまのとんでもなく変な建物。 彼は過激なエコロジストだったため、このアパートも「笑っちゃうくらい妙」なエコ仕掛け満載です。 (あぁ、一度でいいから住んでみたい…) 今はウィーンの観光名所にもなってます。 フンデルトヴァサーは、自分の絵を切手にするときは、いつも自分でデザインをしたそうで、そのため常にハイクオリティーな切手になっているということです。 ちなみに、版画作品が多い彼は日本が大好き。作品の彫師、刷師は日本の職人サンで、「百水(彼の名前の日本語訳)」というハンコまで作ってます。一時期は奥さんも日本人でした。なるほろ。 


 「レースを編む女」フランス発行 「ヴァージナルの前に座る女」パナマ発行 Johannes Vermeer

 日本でも根強い人気を持つヨハネス・フェルメール。展覧会も大盛況だし、最近は映画にもなっちゃいましたね。 私もご多分に漏れず、フェルメールは大好きです。 しかし、なぜ好きかは自分でも良くわかりません。 独特の静かな空間と、光と影の美しさと…うーん…それに、描かれているものの 「質感」 に、他の画家とは違うなにかがあるような気がしますが…。 (<てきとーなこと言ってらっ) ちなみに、彼の作品の 「地理学者」 みたいな人が、自分の理想の男性(笑)(<おいこら) 


 
「誕生(Georges de La Tour)」 1966年 フランス発行

 17世紀古典主義の画家ジョルジェ・ド・ラ・トゥール。 「夜の画家」として知られ、その独特の光と影の表現は、一度見たら忘れられないほど強烈です。 日本でさほど人気がある画家、というわけではないような気がしますが…。ルーブル美術館にも何点か収蔵されているので目にした方は多いのでは。有名なところだと「大工の聖ヨセフ」。暗い夜の部屋に一本灯ったロウソクの光。 その炎に手をかざし、働く父親を照らす子供。手のひらからこぼれるロウソクの光のまばゆさと、光があたらない空間の驚くほど深い闇とのコントラストが、非常に美しく静謐な空気を作り出しています。まさに「夜の画家」の代表作。 ルーブルに行ったことがあれば「あ?あの絵?」と思い当たるのではないでしょうか。 自分ももとはまったく知らなかったのですが、ルーブルで初めて見て 「これ誰?」と驚きました。で、またまた何度も通ったりして…(^^;(<すぐそれだよ) モナリザやヴィーナスよりラ・トゥールの方がお気に入り。


 「自画像(Casper David Friedrich)」 1974年 東ドイツ発行

 カスパー・ディビッド・フリードリッヒの切手。 生誕200年の記念シリーズ切手で、右の切手を含め、4枚の切手が発行されています。 フリードリヒはいわゆるドイツロマン派で、廃墟や荒涼とした景色などを描いたものが多いのですが、その他大勢のロマン派と比べると、その孤独感、寂寞感にはほとんど壮絶なものがあります。 現代の心理学者が絵画分析をしたら、ゼッタイ病気だと言われそうです(笑) (自殺願望とか) この切手の絵だとそれほど強烈には感じませんが、彼の良く描くモチーフ、廃墟を前に佇む小さな人物と、暗く不思議な空の色は、胸を締め付けるような寂しさを感じさせます。 なんというか…本当〜〜に静かな静かな絵なんですが…。インパクトはスゴイです。


「芸術」(ダンス)(絵画)(音楽)Alfons Mucha チェコスロバキア発行

 言わずと知れたミュシャのポスター。これは有名な「芸術」シリーズですね。(本当はあと一枚あるんですが、ここに載せるのは3枚が限界…(^^;) ミュシャのポスターってーと、どうもあまりに有名すぎるせいか 「胡散臭いギャラリーで掴まされるモノ」 あるいは 「そこらの喫茶店にやる気なさげに貼られてるモノ」 みたいなチープなイメージがあって、どうもねぇ〜、と思ってたんですが…。 もともとポスターなだけあって、切手にするとさすがな美しさ。特にこのチェコの切手は色も渋く全体のデザインも大変良い出来で、思わず惚れてしまいました。 アールヌーヴォーの流麗な曲線と溢れる叙情。やっぱりミュシャは偉大なのだなぁ、とあらためて思った切手です。


 
「トルコ風の部屋(Balthus)」  1982年 フランス発行

 具象画なのにとてもシュルリアリスティックな不思議な魅力を持つバルテュスの絵画。 日本でも非常に人気がありますね。 彼の描く少女たちは、どうもマネキンのような質感というか…まるで不自然に画面に凍り付いているように見えます。が、それでいてなんともエロティックなのです。(画家本人はエロティックだなどという評はナンセンスだ、と言っていたらしいですけど…どう見てもむちゃくちゃエロティックなんだがなぁ…)  彼の絵をどうジャンル分けすればいいのか(又は一般的にはどう分類されているのか)、自分にはわかりません。彼についてよく使われる言葉は 「孤高の画家」「最後の巨匠」。 つまりは、誰にも似ていない、偉大な画家だってことでしょうか。 ジャンルなんて無意味だってことですね、きっと。 東京ステーションギャラリーでの展覧会には5回くらい行きました。(<また通ってるしっ) 古びた赤煉瓦にバルテュスの少女たちがとてもよく似合っていましたっけ…。あの頃、まだ画家は存命中だったんですね…(しみじみ)  ところで、今のところ自分の持っているバルテュスの切手はこの一枚だけなんですが…んーー、あまり良い出来の切手じゃナイような…ちょっと印刷がぁ〜、むにゃむにゃ。バルテュスはこの切手を見て文句を言ったりはしなかったんだろうか…。  


「貴婦人と一角獣(視覚)」 「黙示録」 フランス発行

 左はパリの中世美術館(旧クリュニー美術館)の目玉、「ユニコーン」のタペストリー。 以前はタペストリーなんてまったく興味がなく、ブルージュの有名(らしい)な美術館に行っても「あータペストリーばっかで退屈〜」なんて思っていたんですが。 このユニコーンを見てからタペストリーって実は素晴らしいのでわっ?!…と思うようになりました。 とにかく、このシリーズは特別です。はっきりなにがどう?とはうまく説明できないんですが(<ダメじゃんっ) 繊細な織りの表現、暗い赤と微妙なブルーの美しい色合い、そしてテーマの不可思議さ…。すべてがパーフェクトなまさに傑作!…だと思います。(たぶん…<をいっ) 右の黙示録は本物は未見ですが、これも良さそうですね。ぜひ見たい!