切手の小部屋 6
 西ドイツの 「グリム童話」 シリーズ。 

人気がある切手のようで、日本でもわりと有名なシリーズみたいです。しかし、よく知っている童話でも、切手の絵柄をよく見ると 「あれ?これ何?」 ってところがあって面白い。 日本で知られているストーリーと、ドイツで知られているストーリーが、結構違ってたりするんですね。 ほほぅ、楽しいなぁ。

ちなみに、この切手。実はドイツで使ってた残りだったりして…(^^;(<だからちょっと欠けがある) 日本向けにカードを送るとき、シールがわりにしてました。 絵柄が「いかにもドイツ!」って感じでいいかと…。 もったいナイ?


 
 「ホレおばさん」 西ドイツ/ベルリン地区発行(1967) 

ドイツでは知らない人はいないほど有名な「ホレおばさん」のお話。 でも、日本ではあまり馴染みがナイので、一応ストーリー付きでご紹介。

美しい娘がいました。働き者のよい子ですが、いつも継母にいじめられています。(とーぜん、継母には「性格が悪くて醜い連れ子」がいるわけです。) ある日、娘は井戸のそばで糸紡ぎをしていて、井戸に糸巻きを落としてしまいました。 さぁ、継母の怒るまいことか。「取って来い!」と無茶苦茶な命令をされ、娘は泣く泣く井戸に身を投げます。】  井戸のそばで糸紡ぎをする娘、の図。


 
 「ホレおばさん」 西ドイツ/ベルリン地区発行(1967)

【気が付くと、娘は見たこともない世界にいました。 そこにいたのがホレおばさん。 おばさんは顔はコワイけど、優しい人のようでした。 そこで娘はおばさんの家で働くことにしました。 ホレおばさんはとても不思議な人です。 なんたって、おばさんがベッドの羽根布団を振るうと、世の中に雪が降るんですから。 娘は、大事な羽根布団がいつもふかふかであるように、一所懸命働きました。 おばさんは喜んで、娘にとても良くしてくれました。】  布団をはたいて雪を降らすホレおばさん、の図。


 
 「ホレおばさん」 西ドイツ/ベルリン地区発行(1967)

【おばさんの所はとても居心地が良かったのですが、しばらくすると、娘は故郷が恋しくなりました。それで、おばさんは娘を故郷に帰してやることにしました。娘が「おばさんの世界」の大きな門を出ようとすると、突然、上から金が降って来て、娘は体中が金で覆われました。 ホレおばさんが働き者の娘にご褒美をくれたのです。 家へ帰るとニワトリが「こけこっこー、金のお嬢様のおかえりだ〜」と鳴きました。 継母は驚いて、いまや大金持ちになった継子を、丁重に扱いました。】  金が降り、ニワトリ鳴く、の図。


 
 「ホレおばさん」 西ドイツ/ベルリン地区発行(1967)

【娘から事情を聞いた継母は、自分の連れ子にも同じことをするように言いました。連れ子も無事ホレおばさんには会えたのですが、元来怠け者だったので、ちっとも働きませんでした。ホレおばさんは呆れて娘をすぐ首にしました。 「やったー、これで大金持ち!」と喜んで娘が門をくぐると、上から大量のタールが降って来て、体中真っ黒になりました。 家へ帰るとニワトリが 「こけこっこー、汚いお嬢様のおかえりだ〜」 と鳴きました。かわいそうに娘のタールは死ぬまで落ちませんでしたとさ。】  タール降り、ニワトリ鳴く、の図。


 
 「灰かぶり」 西ドイツ(1965)

要するに「シンデレラ」なのでストーリーはいらないでしょうが…でも、グリム版は日本で知られているのとはちょっと違い、それが図柄にも現れてます。 (魔法使いもかぼちゃの馬車もガラスの靴もナシ。 その代わり、助けてくれるのは 「鳩」 と 「ハシバミの木」。死んだお母さんの化身なのです。)

【舞踏会の日、おめかしして出かける姉さん達に、「帰るまでに、かごいっぱいの豆から、いい豆だけ選り分けるのよ。できてないとヒドイ目に遭わせるから!」と言いつけられた娘。 困っていると、鳩たちが来て、悪い豆だけ全部食べてくれました。】  豆のカゴと、鳩たちの図。 


 
 「灰かぶり」 西ドイツ(1965)

【「私もドレスがあれば舞踏会に行けるのに…」娘が言うと、鳩たちが 「お母さんのお墓にあるハシバミの木の下で願いを言ってごらん」 と教えてくれました。 その通りにして木を揺すると、なんと金と宝石で飾られた素晴らしいドレスが落ちて来たのです。】  鳩とハシバミの木のおかげでドレスをもらえた、の図。 


 
 「灰かぶり」 西ドイツ(1965)

無事王子様と結婚できて、めでたしめでたし。…って、あれー? 舞踏会は?靴は?(グリム版では「金の靴」)

一枚足りないみたいです。 きっと使ってしまったんでしょう。(^^; (「王子様が靴を持って娘を追いかけてる図」 の切手がこの前に入るハズ)

それにしても、このドレス…。「豪華で素敵」にはゼッタイに見えないんだけど、いいんでしょーか(笑) 


 
 「カエルの王様」 西ドイツ(1966)

日本でもわりと知られているお話ですね。 しかしカエルに言い寄られたらやっぱり気持ち悪いと思うんだけど…(^^;

【大切にしている金のまりを井戸に落としちゃったお姫さま。困っているとカエルが出て来て 「一緒に金の皿で食事させてくれて、一緒にベッドに寝かせてくれるなら、まりを取ってあげる」 と言います。「カエルなんてバカだから、本気にしなくてもだいじょーぶね♪」 と軽く考えたお姫さま。 OKしてまりを取ってもらいます。】  姫様と交渉するカエルの図。 


 
 「カエルの王様」 西ドイツ(1966)

【ところがカエルが本当に城までやって来たから、さぁ大変! 姫様は泣いて嫌がりますが、王様に 「約束は守らねばならぬ!」 と言われて渋々一緒に食事をするハメに。 あーんイヤだわ、気持ち悪いわ〜。】  姫様、カエルとイヤイヤ食事する、の図。 


 
 「カエルの王様」 西ドイツ(1966)

さて、王子様と結婚して、めでたしめでたし…。 って、はら〜?王子様って誰よっ!  …これじゃ、カエルが王子様だってことがわからない…またしても1枚足りないみたいです…(^^;<使ったんだろっ

それにしても、この童話シリーズは色もデザインも味わい深いですね。 人物の顔なんか、カワイイというより、コワイ。 そういうところが、いかにもドイツっぽい味わいでいいなぁと思います。